以下の記事を読みました。
ここ数ヶ月、読書やデジタルノートを使う上で「索引」が私の中でキーワードになってきています。先ほど挙げた3つの記事を参考に、自分も考えてみたいと思います。
目次は地図、索引はショートカット
目次は地図としての性質を持っていると思います。地図とは実在するものを簡略化して表現したものです。例えば日本地図は日本列島という実在の地形を表現したものです。もちろん、その表現方法には工夫が必要で、縮尺や細かさは目的によって異なるし、場合によってはメルカトル図法のようにある目的に応じて、本来のものとは異なる表現を用いることもあります。ですが、前提としては実在するものを表現したものということに間違いないように思います。
ですから、書籍の場合の目次は、書籍の中身の全体像を簡略化して示したものと言えるでしょう。地図を見るのと同様に、目次を見ることで読者は本の構造を把握し、何がどこに書いてあるのか、場合によってはある程度の内容まで理解することができるわけです。
一方で索引は、目次のような全体像を表す地図としての役割よりは、読者が必要とする情報に素早くアクセスするショートカットの手段を提供する役割があるように思います。それは何が書かれていたといった単なる情報の整理ではなく、利用者の目的に応じてなるべく最短経路で目的地にたどり着くための装置として機能します。
目次は索引の特殊ケース
目次と索引の関係について考えると、実は目次は索引の特殊なケースと考えることができる気がします。
索引は「情報へのアクセス方法を提供する」という広い概念です。その中で目次は、「順番と網羅性」という特定の制約を持った形で、「構造に基づいて情報にアクセスする」という特殊な索引だと捉えられそうです。
これは私が先日作成した読書ノートですが、ノート左側には本の構造に沿った目次を配置し、右側には索引を置いています。目次では章立てに従って内容を整理し、索引では「人物」「キーワード」「本」といった観点から同じ内容への異なるアクセス方法を提供しています。
このように、目次は本の構造という一つの文脈に従って情報を整理するのに対し、索引はより自由に多様な文脈からのアクセスを可能にします。デジタルツールでも同様の考え方が適用できます。フォルダやノートブックといった階層構造が目次的な役割を果たし、リンクやピン留めといった機能が索引的な役割を担います。目次的な整理は「どこに属しているか」というツールの構造を示すのに対し、索引的な整理は「どんな文脈で参照されるのか」を示すものになります。
索引作りはガイドブック作り
近年の本では索引を省略しているものも多く見られます。そうした場合、読者である私たちが自分で索引を作る必要が出てきます。また、デジタルノートでも自分で索引を作らなければ便利なものにはなりません。つまり、読書ノートでもデジタルノートの使用のどちらにおいても索引作りが必要になると思うのですが、その時に参考になるのが「ガイドブック」の考え方ではないかと考えました。
たとえば観光の際に使うガイドブックは、地図以上の役割を果たします。地図は確かにその土地の全体像を示してくれますが、ガイドブックはそれに加えて「この店は落ち着いた雰囲気でデートにおすすめ」「この美術館は印象派に興味がある人必見」といった、具体的な文脈に応じたアクセス方法を提供します。つまり、「誰が」「どんな目的で」その情報を必要とするかを想定し、それに応じて情報にアクセスできるように作られています。
読書ノートやデジタルノート上に自分で索引を作るのであれば、こうしたコンテクストも同時に考える必要がありそうです。例えば「後で人に説明する時に使えそう」「あのプロジェクトの参考になりそう」といった、自分の文脈に合わせて索引を作っていく。目次は本の構造に従う必要があるため、全体を把握してからでないと作りにくい面があります。一方、索引は読み進めながら、気になった箇所から徐々に作っていけます。とすると、索引作りから始めるアプローチはありかもしれません。その上、そうして作られた索引は、あとから情報にアクセスする時に自分専用のガイドブックになるかもしれません。